参加者として発言する立場の時は意識しないけれど、いざ進行する立場になると、発言が多く出る活発な場にすることが難しいブレインストーミング(以下ブレスト)。進行ディレクターが事前準備をすることで、参加者が発言しやすくなり、ブレストの生産性を上げることができます。
事前準備でブレストの生産性を上げる
一般的なブレストは以下の基本ルールを踏まえ、5〜10人程度の人数で1時間程度行います。
ブレインストーミングの4原則
・判断・結論を出さない
・粗野な考えを歓迎する
・量を重視する
・アイディアを結合し発展させる
WEB制作部でも、コンテンツの企画を考えるときによくブレストを行います。
発言側と進行側両方を経験すると、これら基本ルールの共有だけでブレストを行うよりも、進行ディレクターから参加者へ、「事前にブレストの前提条件を広報する」ことで発言が出やすくなり、かつ「時間配分を決めておく」と参加者の集中力も途切れず、ブレストの生産性も上がるように感じます。
事前に前提条件を広報する
前提条件を広報しておくと、参加者はどういった内容のブレストか何となく頭に入った状態で参加できるので、ブレストテーマをその場で理解してから始めるよりも、発言しやすくなり活発な意見交換につながります。
また、前提条件の説明を一から時間内で行おうとすると、予想よりもその説明に時間を消費してしまい、肝心のアイデア出しの時間が足りなくなってしまうことが多いです。
なので、ブレストを行う際は、実施の2〜3日前までに以下の前提条件を広報するようにしています。
- 実施の日時と場所、参加者
- ブレストのテーマ
- ブレストのゴール
- いくつかのアイデア例
- 重要であれば予算やスケジュールなどの具体的条件
2では「このブレストは○○のために必要で、具体的にこういったアイデアがほしい」など、なるべく具体的に絞りましょう。テーマを立てた後、自分でいくつかアイデアを考えてみて、具体的なものが発想できなければテーマの設定を見直してください。自分ができないものは、本番で参加者もうまく発想できない可能性が高いです。
3では「アイデアを○○個出し、その中から良いアイデアを○○個選ぶ」など数値にしておくと、最終的な成果がイメージできて、参加者のモチベーションの維持につながります。
4、5は参加者の発想をより具体的にするために有効ですが、テーマによっては自由な発想を妨げる枷になってしまうので、慎重に考えましょう。
ブレストの時間内は、これらの前提条件を出力したものを配布したり、ホワイトボードに表記したりして、参加者がいつでも確認できる状態にしておきましょう。
時間配分を決めておく
例えば、1時間でブレストを行う際に、その間ずっとアイデアを出し続ける作業では、参加者の集中力も途切れ、ブレストも成果としてまとまっていきません。
進行ディレクターの方であらかじめ、ゴールに向けた作業の時間配分を考えて進行すると、作業にも変化が生まれ、参加者の集中力が持続し、ブレストの生産性も上がります。
下記は、1時間の内訳の一例です。
まず、全体の進行を、個人ワーク、グルーピング、アイデアの発展、まとめといくつかのフェーズに分割し、それぞれに「10分」「15分」などの時間配分を行います。
ブレストは個人では気づけなかったようなアイデアをグループで生み出すことが目的なので、個人のアイデア出しは短時間で集中して行い、その分、参加者全員で行う作業にかける時間を長めに設定するようにしています。
5分 広報した前提条件の確認
事前に広報した前提条件の項目を簡単に確認します。この後の作業の時間配分も説明します。
10分 それぞれ付箋にアイデアを書いて貼っていく
いきなり参加者に発言を促す前に、各自に思い浮かんだアイデアを付箋に書き出してもらいます。
何回かブレストを行って気づいた事ですが、付箋に書き出す事でもやっとした頭の中の整理にもなり、その後の意見交換がスムーズに行くことが多いです。
10分 アイデアをグルーピングする
アイデアの数が多すぎるとまとめづらいので、似たアイデア同士をグルーピングします。
25分 アイデアを改善したり、結合したりして発展させる
出たアイデアについて参加者全員で意見交換を行います。意見交換の中で出たアイデアも追加していきます。進行ディレクターは、発言が途切れないように「このアイデアを○○したらどうですか?」など、参加者に切り口を提示します。切り口の参考としては、以下などが参考になります。
転用:他に使い道はないか
応用:他からアイデアが借りられないか
変更:変えてみたらどうか
拡大:大きくしてみたらどうか
縮小:小さくしてみたらどうか
代用:他のものでは代用できないか
置換:入れ替えてみたらどうか
逆転:逆にしてみたらどうか
結合:組み合わせてみたらどうか
10分 ゴールに向けてアイデアをまとめる
発展させたアイデアを、前提条件で共有したゴールに向けてまとめていきます。
まとめ
ブレストが終わった後は、議事録を作成して参加者にすぐに共有するようにしましょう。Backlogなどの情報共有ツールを使うと、前提条件の広報から議事録まで一つのスレッドで管理できて便利です。
しっかり事前準備を行い、集まってもらった参加者の力を最大限引き出せるように進行しましょう!
この記事を書いたメンバー
札幌出身。でも好きなのは沖縄とハワイ。
ワイヤーフレームとプロトタイプを作っているときに幸せを感じます。
最近の趣味は酔っ払ってウクレレを弾くこと。