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トップダウンより「横方向」で理念浸透。職種横断の対話プログラム「一品会」とは

トップダウンより「横方向」で理念浸透。職種横断の対話プログラム「一品会」とは

こんにちは!ビーワークスのプランナー川村です。

ここ数年、働き方や事業の変化に伴い、ミッション・ビジョン・バリューやパーパスの見直しなど、企業のリブランディングに取り組まれている企業も多いのではないでしょうか。あるいは、新規事業立ち上げに伴い、サービスのミッション・ビジョン・バリューを策定する機会も増えているかもしれません。

一方で、せっかく苦労して策定したミッション・ビジョン・バリューやパーパスが策定しっぱなしになってしまっている事例も多いと聞きます。従業員一人ひとりがブランドを体現するためには、それらの浸透が欠かせません。そのキーになるのは、トップダウンの発信だけでなく従業員同士による「横方向」の浸透施策ではないでしょうか。

今回は、組織全員で理念に向き合い、自分ごとで咀嚼・共有し合う継続的な浸透施策の事例として、ビーワークス マーケティングデザイン(以下「MD」)事業部で実践している「一品会」をご紹介します。理念浸透に課題を感じている方にとって、少しでもヒントになることがあれば嬉しいです。

全員で自分の仕事と理念に向き合う「一品会」とは?

「一品会」とは、MD事業部で半期に一度のキックオフミーティングに合わせて開催しているイベント。メインの活動は、直近の半年間で担当した自分の仕事を「私の一品」として1つだけ選び、職種混合の5名程度のチームで共有・対話する90分のプログラムです。毎回異なるランダムな十数チームに分け、2〜3週間程度の期間内のどこかで、各々開催する方式を取っています。日頃関わりの少ないメンバーの取り組みを知ることのできる機会でもあり、それだけでも毎回楽しみに参加しているメンバーが多いです。

Thoughtfulを軸に深めるリフレクション

90分間のプログラムは、大きく2つのワークを中心に組み立てられています。

90分の一品会プログラム。初めの5分で役割を決める。次の60分でそれぞれの一品を紹介し「ここがThoughtful!」の観点で深堀を行う。次の20分で「次のThoughtfulへ!」として未来志向の対話を行う。最後の5分で「自分がこれからやってみたいこと」を各自語って終了。

WORK01とWORK02の、「ここがThoughtful!」「次のThoughtfulへ」とは何ぞや?と思われたかと思いますが、これこそビーワークスが掲げるメッセージ「Thoughtful design」にあたります。創業15年を機に策定された「Thoughtful design」は、ビーワークスの従業員にとって、ビーワークスの在り方の拠り所となっている考え方です。(Thoughtful designについて詳しくは弊社コーポレートサイトでご紹介しています。

参加者は、各々事前課題のワークシートに、一品に選んだ案件の概要や選んだ理由とともに、Thoughtfulだと思うPOINTを付箋で洗い出していきます。

一品会の「私の一品」スライド。名前、案件名、なぜその案件を選んだのかの理由、Thoughtfulポイント、案件の概要がわかるキャプチャを記載する。

ちなみに付箋の色は3色。

  • 自分で気づいたThoughtful POINT:黄色
  • こうすればもっとThoughtfulだったかも!POINT:青
  • 他の人が気づいたThoughtful POINT:オレンジ

まずは対話プログラムに参加する前に、Thoughtfulの観点で、自身の良かったPOINT(黄)改善余地のあるPOINT(青)を内省します。そしてプログラム当日には、各案件を互いに紹介し合い、対話しながら、客観視点でのThoughtful POINT(オレンジ)も発掘していきます。

付箋の使い方。事前に書く付箋は2つ。自分で気づいたThoughtfulポイントと、こうすればもっとThoughtfulだったかもポイント。プログラム当日には、他の人が気づいたThoughtfulポイントを追記する。

複数の具体的なプロジェクト事例と絡めながら、3色の付箋を用いて考察することで、「Thoughtfulである」とは一体どういうことなのか、多角的に見つめ・咀嚼すると同時に、参加者同士が相互に気づきを与え合う濃密なワークが繰り広げられます。自分では当たり前と思っていた工夫も「こんな挑戦してたなんて、すごい!」「これは気が利いてる〜!」とポジティブフィードバックをもらうことで、自分なりのThoughtfulの発揮の仕方や、その価値を再認識するメンバーも多いようです。

実際にワークシートを埋めると・・・

共有される一品のプロジェクトとしては、クライアントワークが多いため、ここでは具体的な事例をご紹介することが難しいのですが、例えば下記の事例のように社内の活動を一品として取り上げることもしばしば。実績として世に出るプロジェクト以外にも、社内外でThoughtfulが発揮された事例を幅広く共有しています。

実際に使用したワークシートのサンプル。

この時は筆者が有志メンバーと一緒に取り組んだ「UX検定チャレンジ部」という社内活動を一品に選びました。オレンジ付箋で「学習スキームとして真似したい!」とコメントをもらいましたが、この取り組みは、実際にその後のさまざまな領域での学習活動に応用されています。(「合格証かっこいい・・」「全員が合格おめでとうございます!!」など、付箋はかなり自由に使われています)

実際に使用したワークシートのサンプル。

こちらはビーワークス20周年記念特設サイトを一品に出したメンバーのワークシート。演出モリモリのサイトなのですが、クリエイターとして「無邪気にストレッチする」こともThoughtfulであることの気づきがあったり「スクロールに応じて動くとはなんぞやを真剣に考えること」と深みのあるコメントもあったり。出来上がった実績を見るだけではわからない担当者の思いを知ることができるのも一品会の醍醐味です。

全員で組織の未来を見つめる、アイディエーション

プロジェクトのリフレクションでThoughtful POINTを発散した後は、次の半期にどう活かすか?そのために何をするか?組織の未来について対話を発展させていきます。

次のThougthfulへ!と題し、前段のワークで出たThoughtfulポイントを参考に、次の半期にどう活かすかを議論する。

例えば、対話を通じてメンバーそれぞれの「次に挑戦してみたいこと」が見えてきたチームでは、挑戦してみたいことの共有や何気ない雑談を増やすことでお互いに機会を創出していこう!という議論になったり、あえて社内で経験者の居ない領域にチャレンジすることで「自分はこの領域の先駆者である」という一種の自己肯定感の獲得にもつながり、挑戦のサイクルを回していけるかも!という気づきがあったり・・・未来志向のアクションプランがたくさん生まれました、

手触り感のある、多様なビジョンの言語化

最後に各チームで「こんなMDになりたい!​」と組織のビジョンを一言にまとめます。

どんな集団になりたいかを一言で宣言します。

少人数の密な対話を経た上で、半年後というリアリティのある時間軸で捉え、言語化することで、それぞれに自分ゴト化されたビジョンが各チームから生まれます。浸透しない理念が「額に入ったお飾り」と例えられてしまうことがありますが、自分たちで生み出した個性豊かなビジョンたちは、対話を通じて生まれた言葉だからこそ、その文脈もまとって、日々のコミュニケーションの中で流通しやすくなります。

一品会を経て生まれた各チームのビジョン(抜粋)
– 主体性を持っている人を応援できる組織
– 100%で満足しない〜俺たちはもっとできるはずだ!!〜
– ボールを拾い合う
– 難しい「初めて」にチャレンジできるムード
– 屈強な制作集団になる
– MD全体スキルピボットでリスタートな件!
– ゾーンに入ろう

一品会に参加したメンバーの声

びしびし刺激を受けました、楽しかったです!
みなさんが新しいことに挑戦をどんどんしていっているのをとても身近に感じて「自分も頑張ろう」と思える一品会でした。

どうしても尻込みしてしまったり、できない不安を妄想してしまいがちなのですが、だからこそフォローを積極的にお願いしたり、メンバーが得意なことで補い合える環境にしたり、いくらでもチャレンジできる環境は作れるということをみなさんに教えてもらいました。

これからも仕事をしていく上で大切にしたい言葉をたくさん受け取ったので、自分の意識・行動を変えていきたいと思います。

来期に向けてMDがどう動いていけばいいか、たくさんの気付きを得られた貴重な機会でした。

頑張った仕事を互いに称え合うことで、自己肯定感を高めたり、他メンバーが頑張っている姿に刺激を受け「この仲間ともっとチャレンジしてみたい!」と組織効力感を高める機会にもなっています。前向きになれるし、次の半年もがんばろう!と思える、そんな時間です。

毎回異なる運営チームで、進化し続けるプログラム。

全てのチームのアウトプットが出揃ったスライド集は、まるで図録のような見応えです。

以前は、全てのスライドをミーティングで投影して共有していたのですが、参加人数が増えるにつれて所要時間がすごいことに・・。そこで最近はFigma上に全チームのスライドを並べて、他チームの結果も含め、いつでも自由に閲覧できる状態で共有しつつ、ミーティングで全体サマリを共有しています。

一品会全チームのスライド一覧

全スライドを俯瞰することで「事業部の今と未来」も浮かび上がってきます。
メンバーも、マネジメントレイヤーも、同じ景色を共有しながら、次の半年に向かってスタートを切る。一品会は、そんな組織のサイクルの要となるイベントです。

ちなみに、一品会開催にあたっての広報や取りまとめを行う運営チームは、毎回メンバーを入れ替えて担当してもらっています。みんな「ここをアレンジしたら、もっと有意義なワークになるんじゃない?」とアイディアを出してくれるので、ワークの設計も、毎回少しづつ進化し続けています。

一品会運営メンバーの声

事業部のみんなに、今このタイミングで、どんな問いやテーマに向き合ってもらうのが良いか、自分たちは何に向き合いたいか、運営チームでも毎回議論しながらアレンジを加えています。
オンライン参加者とオフライン参加者が入り混じることの多い一品会。発話以外の方法で対話を盛り上げるアイテムとして「リアクションスタンプ」を導入しました。スタンプのおかげで、リアルタイムで複数人がリアクションできる上、ほどよくフランクな雰囲気で対話が盛り上がるようになるなど、大活躍しています!

自分たちで加えたアレンジが受け継がれていくことも、発展していくことも醍醐味。運営を通じて、参加者とはまた違った視点で組織や事業を見つめる、貴重な機会になっています。

クライアントワーク事例は、お気軽にお問い合わせください

今回はビーワークス社内の実践事例として「一品会」をご紹介しました。
ビーワークスでは、お客様に対しても理念浸透やブランディングのご支援として、施策のプランニングやワークショップの開催も行っています。もし、具体的な事例が知りたい、相談したいことがある、という場合は、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いたメンバー

川村 佳乃 プランナー/ディレクター

自分たちが生みだすモノや仕組みで、誰かをもっとワクワクさせたい。
そんな仕事のために、大事にしているのはお客様の商品を愛すること、だけど冷静にズケズケも言うこと。

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