WNT-Design-20170919
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身近な不満を解決しよう!どんな企業やチームでも実践できるデザイン思考ワークショップ

身近な不満を解決しよう!どんな企業やチームでも実践できるデザイン思考ワークショップ

こんにちは、デザイナーのタカハマです!
今回は「チームの課題解決力」を高めるための取り組みとして、私がファシリテーターとなり社内で実践してみた「デザイン思考ワークショップ」の事例をご紹介します!

見逃され続けている課題たち…

問題には気づいているし解決のアイデアもある!でもそれを実現するにあたって必要な人やリソースがない…。」と、解決できない理由を“人や組織のせいにしてしまう”なんてことはよくありませんか?

今回は、そんな身の回りで放置されがちな「小さな課題」を“チームで解決する経験”を通して、チーム内の課題解決力を高めていくワークショップをご紹介します。

「デザイン思考」とは?

デザイン思考(でざいんしこう、英: Design thinking)とは、デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である。
デザイン思考 – Wikipedia

「デザイン思考」と聞くと“デザイン”という言葉が入っているために、デザイナーのためのノウハウのように感じられるかもしれませんが、「デザイン」=「課題解決」と捉えると、業種や職種関係なく多くの人が仕事や生活における課題を解決する際に活用できる思考法だと考えられます。

仕事の多くは何かしらの課題を解決することで「ビジネス価値を高めていく活動」だとも考えられますが、現実には課題定義そのものがズレていたり、解決のアイデアを阻む様々な制約が存在したりと、本質的な課題解決への道はなかなか険しいものです。

そのような社会的な課題に対して「ユーザーの観察を通して課題の本質を探り、好奇心と多様性に満ちたチームによって、創造的な手法を反復的に用いて課題解決を図る」のがデザイン思考であり、多くの人に役立つノウハウだと私は解釈しています。

オフィスの不満を解決しよう!「デザイン思考ワークショップ」

本ワークショップはIDEOが提唱する「デザイン思考」のアプローチをヒントに、私が社内のメンバー向けに組み立てたワークショップとなっていて、次のようなプログラムで進めていきます。

デザイン思考ワークショップのプラグラム内容

ワークショップ用のスライドを載せておきますので、興味持った方は自らファシリテーターとなって実践してみてください!
本記事は以下のスライド内容に若干の補足を加えたものとなりますので、まずはスライドをご覧ください。

また、本記事はデザイン思考における私の解釈が多分に含まれておりますので、「デザイン思考」をしっかりと学ばれたい方は、ティム・ブラウンの「デザイン思考が世界を変える」や、一般社団法人 デザイン思考研究所の資料をご覧いただくのが良いかと思います。

ワーク1「テーマを決める」

まずは取り組むテーマを決めることから始めます。
社会問題や実際のビジネス面の課題をテーマにしてもいいのですが、まずは自分たちの「オフィスの課題」から解決してみませんか?
オフィスの課題解決は業種関係なく、どんな規模の組織でも取り組みやすいテーマです。

「オフィス」の課題解決が取り組みやすい理由

  • 自分ごと化できる
  • 実行ハードルが低い
  • 効果を自ら体験できる

課題を探す際には、現場の状況を直接つかみながら課題を探しますが、自分たちが毎日過ごしているオフィスであれば、現場理解の時間を短縮でき、問題点を「自分ごと化できる」ので深い洞察が得られやすいです。

また、解決のためのアイデアを実行する際にも、通常は様々なステークホルダーの承認を得てから改善施策を試す必要がありますが、自分たちのオフィスであれば承認ハードルも低く、施策の「実行ハードルが低い」ので、複数の施策をテストすることも容易となります。

さらに、施策は実行して終わりではなく、ユーザーの声を聞きながら反復的に解決のサイクルを回すことが必要ですが、自分自身がユーザーでもあるので「施策の効果を自ら体験できる」点は大きなメリットとなります。ユーザーの声が身近にあることで、短い期間で解決のサイクルを多く回すことができます。

ワーク2「課題を探す」

テーマが決まったら課題を具体的に探しましょう。

みなさん、次のような経験はありますか?
あるモノが流行っていると聞いてから、色んなお店で頻繁に目にするようになった。しかし、実際は流行る前からずっと置いてあったモノで、認知する前の自分が気付いていないだけだった…。

人間のモノの見方には特徴があって、意識をどこに向けるかで同じモノを見ていても得られる情報が大きく変わります。

課題探しのコツ

  • まずは「課題を探すモード」に意識を切り替える
  • この時点では具体的な解決策は考えずに探し続ける
  • 」がつくものを中心に探していく(不満、不便、不都合、不愉快、不潔…)
  • 気になった部分は全て写真に撮っておく

意識的に「課題を探すモード」に切り替えて現場を歩きまわり、「不満」や「不便」などの「」のセンサーに引っかかる部分を、片っ端からスマートフォンなどで写真に撮って記録していきましょう。

また、集団には「課題発見を遠ざける思考のクセ」が気付かぬうちに根付いていたりします。

課題発見を遠ざける思考のクセ

  • 問題提起をするには、解決策の提示が必要だ(自分が責任を負わなければならない)
  • 過去の経緯を知らずに意見していいのかわからない
  • 問題があることに慣れきってしまい、「そういうものだ」と受け入れてしまう

このような思考のクセはファシリテーターが事前に緩めてあげると良いでしょう。
「解決の責任は伴わないよ!」
「過去の経緯は気にしないでいいからね!」
「完全に主観でいいから、気になったことは全部写真に撮っておいて!」

このように伝えるだけで、問題提起のハードルが下がり、課題が表に出やすくなります。
実際にやってみると、毎日平然と過ごしていたオフィスにも多くの課題が隠れていたことに驚くことかと思います…!

ワーク3「課題を共有する」

個別の課題発見が完了したら、参加者全体で課題を共有し深掘りします。
撮影した写真を紙に出力し、お互いに説明しながら壁に貼っていきましょう。
その際に、次のようなことをしながら課題のポイントをまとめていきます。

  • 共通の課題は連ねて貼っていく
  • なぜ課題と感じたのか、理由を具体的にしていく(写真に付箋を貼る)
  • 要因が関連していそうな課題同士を近づける

共通の課題を重ねることで、課題を大まかに分類します。この時、写真の連なる量によって問題視していた人の多さも知ることができます。

さらに「なぜ課題と感じたのか」を具体的にするために、考えられる理由を全て付箋に書き出し貼っていきます。「なぜ」を何度か繰り返すことで課題の捉え方にも変化が生じます。

そして、課題の原因が関連していそうな課題をまとめていくことで、課題の本質が少しづつ見えてきます…。

ワーク4「チームを作る」

課題の本質が少しづつ見えてきたところで「チーム」を作ります。
なぜ、課題解決においてチームで取り組むことが効果的なのでしょうか。

チームの利点

  • 「できない」という先入観を壊せる
  • 得意な領域で活躍できる
  • 約束には人を動かす力がある

課題解決において、厄介な存在は「できない」という思い込みです。自分1人で取り組み、「できない」という考えに一度とらわれたら最後。「できない」という考えで凝り固まってしまいます。
自分以外の誰かと一緒に考えることで「できない」という思い込みを簡単に壊すことができます。

また、何かを解決のしようとすると、何かしら多くの知識や技能が必要となります。チームであればそれぞれ得意な領域を発揮することができますし、自分の得意分野が活かされている状態は心も満たされます。

周囲に「自分1人だとついつい怠けそうになるから会社員として働いています…。」なんていう人がいるかもしれませんが、人との約束には人を動かす力があります。互いに刺激となる関係性を築ければ、それがプロジェクトの推進力となるかもしれません。

そして、チームの「作り方」にもポイントがあります。

チーム作りのポイント

  • 「グループ」ではなく「チーム」を作る
  • 1チームの人数は3〜4人にする
  • メンバー構成に多様性がある方がいい

同じ属性や仲の良さだけで構成された「グループ」ではなく、共通の目的をもって互いに協力できる「チーム」を作りましょう。

「ワーク3」で多くの課題が出てきますので、「自分が一番解決したい課題」をそれぞれ選び、共通の課題意識を持ったメンバー同士でチームを作ります。
ワークショップでは1チーム3〜4人がオススメです。3〜4人だと役割分担が明確で、責任感もほどよくあり、アイデアの発散や収束などの議論もスムーズに行うことができます。

また、チームメンバーの属性や特性には多様性がある方が望ましいです。同質のメンバー構成だと知識や思考の幅が狭くなりがちなのと、苦手な作業もお互い補完しにくいからです。
もし、ひとつの課題に多くの人が集まってしまった場合は、ファシリテーターがメンバーの属性を見ながらチームを分けるか、課題をさらに分割すると良いでしょう。

ワーク5「アイデアを広げる」

解決する課題とチームが決まったら、次は解決のためのアイデアを広げます。
アイデアを出しやすい状態にするためにも、チーム内で「自己紹介」や「チーム名を決める」などのちょっとしたアイスブレイクを挟むと良いでしょう。

ここからは各チームに進行方法を任せてもいいのですが、アイデアの発散方法としてブレインストーミングのやり方をファシリテーターが紹介しておくと良いでしょう。

ブレインストーミングのよくあるやり方

  • 批判はしない、判断は後でする!
  • 馬鹿だと思われるようなアイデアも歓迎する!
  • 質より量を重視する!
  • 他人のアイデアにも連想、結合、便乗していく!

ブレインストーミングなどで多くのアイデアが出たら、実際に実行する施策の計画を立てます。

ブレストが終了した時点で「このアイデアで行こう!」とチームが動き出せていたら、素晴らしいアイデアが出たという証拠ですが、おそらくそこまでのアイデアが出るのは稀でしょう。
多くの場合はどれも決定打に欠けるアイデアの集合でしかなく、まだまだ悩み続けることになると思います…!

ワーク6「アイデアを磨く」

多くのアイデアが出たところで、アイデアを磨きます。

アイデアを広げる段階ではただただ夢を見ていてもいいのですが、ここからは実行可能な施策に落とし込んでいくフェーズとなります。「君が思いついたアイデアがどんなに素晴らしくても、実行しなければ1円の価値もない」という耳の痛い言葉を肝に銘じておきましょう。

アイデアの磨き方

  • 制約がアイデアを洗練される
  • お金をかけない
  • モノだけでなくルールや仕組みにも目を向ける

アイデアを磨く一番の方法は「制約」をかけることです。
制約がかかることによって、無限に広がるアイデアの焦点が絞られ尖り、実現に近づくことがあります。

また、多くのアイデアの実現を阻むものは「お金」です。
お金の有無が重要なことは容易に想像つくと思いますが、たとえお金があったとしても、ビジネスの場面では「使用用途」や「金額」によって承認者や承認回数が大きく変わるのがポイントです。

ここを理解せずに提案していると「いいアイデアだし賛同したいけど、それにかける予算がない。私の権限では許可できない…」など、クライアントや上長から「同意は得られるけど実現できない…」という残念な結果に終わることもあるでしょう。
逆に予算の出どころや承認プロセスまで考えられた提案や、既存の承認プロセスと違うルートを構築できる提案は実現度が一気に高まります。

今回のワークショップでは「できるだけお金を使わないアイデアを実行すること、お金が必要な場合はしかるべき承認者から正しく承認を得ること」という一定のハードルを課すと良いでしょう。

そのような要件が加わると、ただの物品購入で済まそうと考えていたアイデアも「ルールや仕組みの変更で解決できるかもしれない…!」と、より本質的な解決に近づくこともありますし、今まで承認プロセスや広報に無頓着だったメンバーがアイデアの実現に向けた戦略家になることもあります。

アイデア事例「放置された傘
実際にワークショップであった事例をご紹介します。
所有者不明のビニール傘が複数放置されていて、誰のものかもわからないため処分されずに傘立て周辺が乱雑になっている…」という責任者の所在も不明で誰も解決しようとしていなかった問題がありました。

その問題の解決を試みたチームは「新たに傘立てを追加する」という物品購入による一時的な解決策ではなく「所有権が放棄されたとみなす基準を新たに設けて従業員に広報し、一定期間を越えて放置されていたビニール傘は状態によって選別し、廃棄するか共用の置き傘として全員が使えるものにする」というアイデアを実行しました。

この事例では、お金を使わないという制約によって「溢れた傘を整理するためのモノが必要」という視点から「責任の所在が不明な点を明らかにして対処することが必要」という視点で問題を捉え直すことができました。

また、他の従業員からの承認を得るにあたり、基準を明確にした広報活動に加えて「権利放棄までの期限を伝えるシール」や「共有の傘であることがわかるシール」をつけることで「どのような状況の傘なのか、誰が見てもわかるようにした」という工夫もありました。

この事例のポイントは、「モノではなく、ルールや仕組みによる解決」と「広報と承認プロセスの見える化」に工夫があった点です。

デザイン思考ではアイデアの「有用性(役立つ)」だけでなく「実現可能性(できる)」や「持続可能性(続けられる)」についても考慮しながら施策を検討することが大切です。

ワーク7「小さな実験を重ねる」

デザイン思考の特徴の一つに、テストと検証を反復的に行いながら解決策を探るというものがあります。
プロトタイプと呼ばれる試作品を作り、実際に実行してみて、問題があれば問題定義や施策検討から改善を試みます。
プロトタイプはお金をかけずに素早く実行するのがポイントです。紙やダンボールなどで簡単に作って実際に置いてみるだけで、意外と多くの反応や感想を得られます。

小さな実験を重ねると…

  • 実行のハードルが低くなる
  • 効果を早い段階で測ることができる
  • 簡単に手戻りができる

小さな実験を心がけると、実行のハードルが低くなることで多くの実験を重ねることができます。
素晴らしいと思われたアイデアの残念な点が早々と見つかったり、期待値の低いアイデアの意外にも優れた点が見つかることもあります。

リスクを抑えて短期間に複数回テストできるので、効果が低いものは再検討しながら「有用性」「実現可能性」「持続可能性」の高いアイデアを探り、実際に実行していきましょう。

ワーク8「実行の可能性を高める」

ここまでのワークを通して、身近に存在していた小さな課題はおおよそ解決できたのではないでしょうか。
ワークショップを実践することで、思わぬ課題を発見したり、日頃は見て見ぬふりしていた課題を正面から解決できてスッキリしたメンバーもいるかもしれません。

最後のワークはこれから本当にやるべき課題解決にむけて、より実行の可能性を高めるためにできることは何かを考えます。
参加者全体でワークショップの振り返りを行い、各ワークを通して気づいたことを組織で共有し、今後の課題解決に活かせるようにします。
私達の組織では次のような発見がありました。

実行の可能性を高めるために重要なこと

  • ストーリーを語ること
  • 周囲への広報やアナウンスをきちんと行うこと
  • しかるべき責任者からの許可取りを考えて動くこと
  • 試作段階で人に見せて反応をもらうこと
  • 段階的なリニューアルや部分的な効果検証を行うこと
  • 課題の優先度を見極めること
  • 失敗時の撤退パターンも考えておくこと
  • モノをつくらなくても解決することはあると知ること
  • 日頃の信頼関係が大事だったりすること

などなど、ここには書ききれないくらいの意見が出ましたが、こういったものはテキストで学ぶよりも実際にやってみて体感するのが一番だと思います。

身近な課題をチームで解決することの楽しさ

今回は身近な課題解決をワークショップという形式で実践してみました。
「デザイン思考」のアプローチを学ぶことを念頭に組み立てたプログラムでしたが、実際にやってみることで「チームで解決することの楽しさ」や「解決して感謝される喜び」などを感じることができたようで、チームとしての一体感も高まりました。

このようなワークショップは「テーマ学習」だけでなく、共に学ぶプロセスを通して「チームビルディング」としても良い効果が期待できます。

ぜひ、お試しあれ!!

デザイン思考_DESIGN THINKING

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この記事を書いたメンバー

タカハマ ケンタ デザイナー/アートディレクター/マネージャー

デザインの面白さを分かりやすく伝えることをテーマとしています。
趣味はドライブとツーリングと買い物。
本気の買い物は仕事に役立つという信念で散財を楽しんでいます。

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