こんにちは、ビーワークスのプランナー川村です。
突然ですが、あなたは「会議」に課題を感じたことはありませんか?
例えば 「みんな黙ってなかなか意見を出さない」「意見を言う人がいつも偏る」「話がとっ散らかってまとまらない」「方針だけは決まるが具体策が決まらず、何度も会議をする羽目になる」 などなど。
きっとどれかしら課題に感じたことがあるのではないでしょうか?
実は私自身、社内の会議やクライアントとの打ち合わせの場、特に大人数での会議やブレスト際に、このような課題を感じることが多くありました。
そして「会議をもっと有意義な場にしたい」と悩み、たどり着いたひとつの手法が「ワークショップ」。会議をワークショップ形式にしたことで参加者全員がたくさんの意見を出し、かつ時間内に話がまとまり合意形成できるようになりました。
いつもの会議を「ワークショップ」形式にしてみよう!
今回は、普段オフィスで開催している「会議」のうち、特にアイディア出しや参加者全員の合意形成を目指すような議題の会議を「ワークショップ」形式にして実施することを想定して、初めてワークショップを開催する人でもスムーズに計画・準備ができるよう「ワークショップ企画シート」(PDFでダウンロード)を使いながら、ワークショップの進め方を紹介します。
目次
- そもそも「ワークショップ」って何?
- ワークショップを企画してみよう!
- ❶ ワークショップの目的
- ❷ ワークショップのゴール
- ❸ プログラム内容
- 1)個人ワーク
- 2)ペアワーク
- 3)グループワーク
- 4)全体共有
- ❹ 時間配分 - ワークショップの進め方
- ① ざっくばらんな雰囲気づくり
- ② あると便利なアイテムをそろえておく
- ③ オリエン時の趣旨説明は丁寧かつ手短に
- ④ ワークショップが始まったら、タイムキーパーになろう
- ⑤ 余力があればぜひ!ファシリテーションに挑戦!
- ⑥ まとめはみんなで確認→すぐシェア - ワークショップ体験者の声
- さあ、次はあなたの番!
そもそも「ワークショップ」って何?
私が参考にしている書籍『ワークショップ・デザイン: 知をつむぐ対話の場づくり』ではワークショップの定義を 「多様な人たちが主体的に参加し、チームの相互作用を通じて新しい創造と学習を生み出す場」 と紹介しています。
「ワークショップはこういうプログラムでなければならない」なんて決まりはありません。
参加者が主体的に考え、発言し、相互作用を生み出すような工夫をすれば、それは立派なワークショップの第一歩になります。そして実践してみると「もっとこうすればよかった」「次はこんなツールを用意してみようかな」と色々な気づきが生まれ、次はもっといいワークショップが開催できるようになるはずです。まずは一度、物は試しだと思ってやってみましょう!
ワークショップを企画してみよう!
そうはいっても初めてワークショップを開催するとなると、何から手をつけていいか悩んでしまいますよね。
そんな方のために、 A4用紙1枚にまとめられる簡単な「ワークショップ企画シート」(PDFでダウンロード)を用意しました。まずはこのシートの ❶〜❹ の欄を順番に埋めていってみましょう。
❶ワークショップの目的
そもそも何のためにワークショップを開催するのか?という目的を書きます。
一度のワークショップに、たくさんの目的を設定することはおすすめしません。なるべくピンポイントの目的にフォーカスした方が、全員が迷わず同じ方向を向いて参加しやすくなりますし、ワークショップを企画する側もブレずに筋の通ったプログラムを組み立てやすくなります。
❷ワークショップのゴール
ワークショップが終わった時に、どうなっていれば成功なのか?を書きます。
ゴールを定めるときには、そのワークショップがプロジェクトのどのフェーズを担うべきかを意識しましょう。ひとまずアイディアを出すだけでいいのか、あるいは施策の決定・合意形成まで行う必要があるのか。それによって必要なプログラムも変わってきます。
❸プログラム内容
目的とゴールが定まったら、それに向かって、参加者が主体的に意見を出しやすくなるようなプログラムを組んでいきましょう。1時間の会議なら多くても3つくらいのアクティビティで構成するのがおすすめです。
アクティビティには様々なものがありますが、ここでは「人数」を基準に大きく4種類で考えてみます。
1)個人ワーク
1人で考えた内容を付箋やシートに書き出してもらうワークです。
いつもの会議だと、人によって発言量や意見の強さに差が出てしまうような場合には効果テキメン。口頭では、誰かが発言しているときには基本的に他の人は発言できませんが、全員同時に文字でアウトプットすれば、全員が自分自身で考えて意見を出せますし、結果的に 短時間でたくさんのアイディアを出すことができます。さらに、アイディアを付箋に書き出せは、全員のアイディアが等しく1枚の付箋となり平等に扱われる効果もあります。
ビーワークスでも、このワークを取り入れることで、普段口数の少ないメンバーや若手の意見がたくさんアウトプットされるようになりました!
2)ペアワーク
2人ペアで、お互いの意見を交換するワークです。
ペアワークは、たくさんのアイディアを出したいときよりも、参加者の視野を広げたいときにおすすめ。1対1は、大人数の前より自分の考えを述べるハードルが低くなりますし、聞き手もじっくり相手の話に耳を傾けることができるので、立場や視点の異なる考えに気づきを得やすくなります。
職種やキャリアの違う人同士をペアにしたり、いつもと違う「役」を与えてロールプレイをしてもらったりすると、普段自分では思いつかないようなアイディアが生まれやすくなります。また、ワークショップのアイスブレイクとして冒頭に組み込むのも効果的です。
3)グループワーク
3〜5人程度のグループごとに意見を交換しあうワークです。
グループワークは、ペアワークよりもライトに意見を交わしたい時や、全体の人数が多い時におすすめ。気軽に発言しやすい人数なので、誰かのアイディアが新たなアイディアを生む連鎖反応が起きやすくなります。
ビーワークスでは、約20人のディレクターが集まる会を定期的に開催しているのですが、コの字型机で全員で議論するスタイルから、4つに分けてグループワークを行い→全体共有をする形式に変えてから、時間内に出る意見の量が圧倒的に増え、参加者の満足度も大きく向上しました。
4)全体共有
アイディアを発散するときは、個人ワーク、ペアワーク、グループワークがおすすめですが、会の中盤や終盤で全員の足並みをそろえたり、全体を俯瞰して共通認識を作りたいタイミングでは、全体共有の時間を設けましょう。ワークで出てきた付箋をホワイトボードに貼ってカテゴリごとに整理すれば、注力すべきポイントが見えてきたり、あるいは新しいアイディアの組み合わせに気づけるかもしれません。また、全員で同じホワイトボードを見ながら話をすることで、意見の集約や合意形成がしやすくなります。
❹時間配分
❸プログラムを選んだら、それぞれの時間配分を決めていきます。最初のうちは1つのワークにつき、見立てよりも5分多めに時間を確保しておくことをおすすめします。(特にグループワークは思ったより盛り上がってしまい時間が押すことが結構あります)あとは、冒頭の「オリエン」と最後の「まとめ」でプログラムを挟めば、立派なワークショッププログラムの完成です!
さあ、これでワークショップのプログラムができました!
もし可能なら、ワークショップの開催前に、誰かに客観的視点からプログラムをみてもらうことをおすすめします。もし「このプログラムはもっと時間を多くとったほうがいいかも」という意見をもらったけれど、他のプログラムも削れない…という場合は、ワークショップを2回に分けて開催することを検討した方がいいかもしれません。
ワークショップの進め方
ワークショッププログラムができたら、さっそくワークショップを開催しましょう!
ワークショップ当日に気をつけるべきポイントは下記の6つです。
①ざっくばらんな雰囲気づくり
いつもの真面目な会議とは違うざっくばらんな雰囲気は、ワークショップを活気あるものにしてくれます。
- BGMをかけてみる
- 机のレイアウトをいつもと変えてみる
- ワークショップに楽しげなタイトルを付け、ホワイトボードに書いておく
などはどれも手軽にできる工夫です。
ちなみに先日、スケジュール作りに悩める新人ディレクターが開催した会のタイトルは 「めざせ!スケジュールマスター!」 。
和気藹々とした雰囲気で意見が交わされる有意義なワークショップになりました。
②あると便利なアイテムをそろえておく
どんなワークショップでも、下記アイテムは用意しておくと便利です。
- ふせん
- コピー用紙
- サインペン
- ホワイトボード
ちなみに、ホワイトボードに貼るふせんは強粘着タイプがおすすめ。
また、ペンはボールペンよりもサインペンの方が文字が太く・大きくなるので、参加者同士で共有するワークショップの場ではおすすめです。
③オリエン時の趣旨説明は丁寧かつ手短に
初めてワークショップに参加する人は「一体何をさせられるんだ?」と不安に思うかもしれません。どうして今回ワークショップを開催するのか、❶目的と❷ゴールを中心に、参加者全員に丁寧に説明しましょう。ただしダラダラ長くならないように。ワークショップの主役は、あなたではなく参加者全員だということをお忘れなく。
④ワークショップが始まったら、タイムキーパーになろう
ワークショップが始まってしまえば主役は参加者ですが、だからこそあなたの大事な役割になるのがタイムマネジメント。特にペアワークやグループワークは盛り上がりやすいので「あと5分ですよ!」とワーク終了までの時間を適宜アナウンスしたり、必要に応じてワークの時間を延ばしたり切り上げたりしましょう。
⑤余力があればぜひ!ファシリテーションに挑戦!
もし余裕があったら、参加者のワークに少しだけ介入して、意見を引き出す働きかけをしてみましょう。例えば、個人ワーク中にペンが止まってしまった人には「何も浮かばないですか?」と声をかけてみます。すると「何を書いていいかわからなくて・・例えばこんなことでもいいんでしょうか?」と迷いを払うきっかけが作れます。あるいは全体共有の最中、なんとなく沈黙になってしまった時には参加者を見渡して「○○さん、何か気づいたことありました?」などと話を振ってみるのも効果的。一人の発言をきっかけに話が流れ始めることが多いです。
⑥まとめはみんなで確認→すぐシェア
ワークショップの最後には、❷ゴールで定めたアウトプットを整理します。そして、 参加者全員が主体的に参加した成果として、そのアウトプットをみんなで讃えましょう!
最後は、次のアクションを確認して締めくくります。当日のアウトプットをまとめたホワイトボードや付箋はその場で写真に撮り、ワークショップが終わった熱が冷めないうちに共有しましょう。
ワークショップ体験者の声
ビーワークスでは、最近様々な人が社内ワークショップを開催するようになりました。実際にワークショップを体験してみてどのように感じているのか、ワークショップに参加した人や、ワークショップを開催した人に聞いてみました。
ワークを通じて参加者がどう感じるか?難易度はどのくらいが適切か?など、体験の質を上げるために相手の立場に立って頭をひねるプロセスはまさにUXデザインのトレーニングになります。
ポジティブな意見が多く聞かれた一方で、
ワークショップに向いている議題とそうでないものがある、という意見もありました。
ただし、全員で決めるからには参加者全員がコミットできる内容であるべきなので、参加者ひとりひとりの状況を考慮した題材設定やプログラム作成が重要だと思っています。
当然、なんでもかんでも「会議」を「ワークショップ」形式にするのがいいとは限りません。扱うテーマや参加メンバーの状況を踏まえた上で「今までのやり方では活発に意見が出ない」「今回は参加者の腹落ちを重視したい」と感じている場合には、ワークショップは参加者の主体性を引き出し、高い納得度で結論を導き出せる有効な手段となりそうです。
さあ、次はあなたの番!
ワークショップは、決して難しいものではありません(やればやるほど奥が深いですが)。もしもあなたが、いつもの会議にマンネリや課題を感じているなら、その会議、ワークショップにしてみる価値がありますよ!
ちなみに、ビーワークスでは、お客様の課題解決にあたっても必要に応じてワークショップを企画開催しています。プロジェクト初期の企画段階から、プランナー、デザイナー、エンジニアなど様々な職種を交えてワークショップを行うことで幅広い視点からアイディアを検討できたり、ファシリテーションを社外に委ねることでフラットな議論がしやすくなったりするといったメリットもあります。ご興味があればぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を書いたメンバー
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そんな仕事のために、大事にしているのはお客様の商品を愛すること、だけど冷静にズケズケも言うこと。