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これぞデザインの力!費用対効果を高めるデザインの知恵【デザインのアンテナ02】

こんにちは、デザイナーのです。デザインに対する”感度”を高めるため、社内の有志と「デザインのアンテナ」という活動をしております。2回目となる今回は「費用対効果を高めるデザインの知恵」を探してみました!


「デザインのアンテナ」とは?

デザインに対する”感度”を鍛えるべく「日々の生活の中から、世の中の創意工夫を発見する」活動です!
具体的に次のような方法で進めます。

  1. 発見のヒントとなるテーマを参加者に発表
  2. テーマにそったデザインを発見したら写真に撮る(期間は2週間)
  3. 参加者で集まり、写真を手にショートプレゼン&意見交換(全員で1時間)
  4. 全員終わったら次のテーマを発表し、また2週間後に集まる

制約は「調べない、ググらない」

普段の生活の中からデザインの工夫を”発見する体験“を味わってもらうため、検索などで簡単に調べることは禁止としました!(発見後の深堀調査はOK)
そして、2回目のテーマはこちらです!


「これぞデザインの力!費用対効果を高めるデザインの知恵」とは?

コストを考慮しない解決策は机上の空論であり、優れたデザインにはコストを抑える工夫が散りばめられているはず!
身の回りのモノから、作り手たちのデザインの知恵を学んでみよう!

という意図のテーマです。
では、「デザインのアンテナ」でキャッチしたデザイン事例をご紹介します。

※実際の費用対効果に対する数値的な根拠はございません。あくまでも使い手の立場から想定できる条件で「費用対効果を高めるための工夫がなされている」という仮説を元に述べさせて頂きます。

形状の工夫による機能拡張

たまごポケット

たまごを入れるくぼみ(たまごポケット)をつけることで、「消費者が一手間加える体験」という付加価値を与えている。他の即席麺よりちょっと高いけどついつい買っちゃうための仕掛けなんでしょう、たぶん。
発売当時から続くスタイル(スープや具などの小袋を入れない)を守りながら進化を遂げた姿に思いを馳せながら食べるチキンラーメンはまた格別!(30代、男性デザイナー)

少しのくぼみを加えるだけの小さな変化ですが、見た人の想像力を大きく刺激する画期的なアイデアですね。「この穴は何だろう?」と考えさせることでユーザーの行動を促します。「穴があるとそこにモノを入れたくなる」という人間の心理をうまく利用していますね。書いてるそばから卵を落としたラーメンを食べたくなりました。

ガードレール

膨大な数が必要なガードレール。影が入る形状にすることで単色でも十分な視認性を確保することができ、塗装費用を減らせているのではないか。また、一つの金型で大量生産し、ツギハギのように設置していくことができるようにしているので、生産工程や輸送工程でのコストも抑えられているかと思う。(20代、女性デザイナー)

視認性や生産性の確保以外にも、曲げることによる強度アップの効果もありそうです。日本全国くまなく設置されるものですから、コスト面において、かなりの試行錯誤がなされたデザインであることが想像できます。

ロードコーン

誰もが知っている円錐形のあいつ。数百円にして人の導線を操るすごいやつ。あのシンプルな造形で、重りやバー、反射板など、付属品とカスタムしていろんな使い方ができる。街を見ていると工事現場だけでなく、一般家庭でも意外と持っている人は多い。(20代、女性ディレクター)

シンプルな形状で、自立し、重ねて持ち運べ、カスタムできて、安価。素晴らしい機能美です。物理的には素通りできるのに、精神的に従わざる負えない謎の力も持っています。道路の白線なども同様ですが使用時のルール含め社会に浸透しており、社会性を内包したデザインとも言えそうです。


必要だとされるモノの省略

封筒なしDM

封筒なしDMは接着面の工夫で、封筒を削減している。デザイン費・印刷費・紙代だけでなく、封筒への封入作業費や、受け取り手が封筒を開ける手間まで削減している。しかも接着面は開けやすく、捨てるゴミが少ないのも助かる。(30代、男性デザイナー)

少しでもコストと手間を抑えて配送できないか…、と頭をひねった結果「封筒を使うのやめよう」という発想に行き着いたのでしょうか。一見単純な話のようにも思えますが、それまであたり前だったことを疑うのは難しいことですよね。

野外シネマ

野外シネマで使用されるスクリーンや音響セットは簡易的な物が多い。元々ある空間を使用するため、映画館を建設するよりも初期費用はかなり抑えられるのではないかと思った。簡易的な作りではあるが、野外という開放的な空間&開催日数の少なさによる限定感を踏まえると特別感も高い。(30代、女性デザイナー)

通常の映画館よりも映像・音質・座り心地などで劣る面もあるとは思いますが、それとは別の付加価値を提供している事例です。普段とのギャップがよりいっそう魅力を高めるのかもしれません。こちらも「映画上映には映画館が必要」という考えを疑って実現したアイデアですね。


共通化と少しの差別化

コレクション玩具

色・シール・音声のみで各商品の差別化をしているので、同じプラスチック型を使って大量生産できる。形状は全て一緒だが、音声や各シールのグラフィックを凝るなど、数十種類あっても使い回し感は無く、集めたくなるデザイン。(20代、男性デザイナー)

メイン部分を共通化することでコストを抑え、少しの差別化でコレクション性を高めている事例です。共通化はコストカットだけでなく、カタチが揃うことによる見た目の気持ちよさにもつながります。一度に全てを発売しないことで、少しづつ集めていく楽しさまで提供しています。

季節柄パッケージ

手土産を選ぶ時、季節やイベントにちなんだパッケージになっていると、たとえ中身がいつもと同じでも買いたくなる。箱の形状はそのまま、柄だけ変えているのでコストは抑えられていそう。(30代、女性デザイナー)

商品の中身そのものを変えなくても「今が買うべき時である」という、特別感を持たせることができる手法です。いつもと同じ味でもパッケージが変わることで、新鮮な気持ちで楽しめます。商品開発のサイクルが長い商品などで有効な施策となりそうです。

おみくじ

おみくじはどの寺社でも、何種類あろうと同じフォーマットで組まれていて、大抵1色か2色刷りなので作る時の原価が抑えられていそう。みんなほぼ毎年引くけど年度を入れないことで毎年同じものを使えるようにしているあたりもコストパフォーマンスを高めている。(20代、女性デザイナー)

こちらも「共通化と少しの差別化」で商品価値を高めています。こちらの差別化で得られる効果は「コレクション性」ではなくて「ランダム性」となりますね。テキストが「大吉」「大凶」と一文字違うだけで価値が大きく変わるという点も面白いです。


安価な素材の効果的な活用

漫画雑誌の紙

週刊少年ジャンプ本誌では価格の抑えられる古紙を使っているが、古紙についている色「赤・緑・黄」をタイトル毎に使い分けることで、タイトルの始まるページをわかりやすくしている。さらに、カラフルなので読者が飽きない、古紙によるボリューム感が出る、などのメリットもある。(20代、男性エンジニア)

単純にコストを抑えるだけではなく、メリットにまで昇華させている点が素晴らしいです。また、単行本化の際には上質な紙質に変わることで、新たな気持ちで読み直せるのも嬉しいところです。


スペースの有効活用

レシートクーポン

通常のレシートにクーポン部分を追加するだけで簡単にクーポンを配布できる。しかも、レシートを受け取る習慣を利用しているため、単体のクーポンを配布するよりも効率のよい宣伝・購買促進効果がある。必要な人は残し、不要な人は捨てればいいだけなので、相互の心理的負担も少ない。(30代、女性デザイナー)

余剰スペースを利用することでレシートを渡すだけでクーポンを同時に配れるスマートなアイデアです。さらにレシートをきちんと受け取る人はお金の管理や節約に関心のある可能性が高いため、クーポンを比較的喜んでもらいやすいというのもポイントですね。


簡易的な手段による代替

手書きPOP

店内をぼーっと歩いていて、POPが目に入る→なんか気になる→商品を手に取る。というのが日常でけっこうある。ワードセンスは必要だけど、簡単に試せる方法なのに訴求力は高く、費用対効果は高いと思う。(30代、女性デザイナー)

手書きPOPは紙による「販売員の代替」と考えられます。推薦文・口コミ・批評・キャッチコピーなどの売り文句を販売員の代わりにPOPが呼びかけてくれます。POPのテイストが揃っているお店ではそれ自体がブランディングともなるので、とても費用対効果の高い施策ではないでしょうか。


費用対効果を高めるには?

どのアイデアからも「少しでも安く」「少しでも高い価値を」「少しでも多くの人に」という作り手たちの知恵と情熱が感じられました。自分たちが作り手の立場で関わっているものに対しては、次のような切り口で頭を捻れば良い結果につながるかもしれません。

それではまた次回。よい発見を!