こんにちは、デザイナーのです。デザインに対する”感度”を高めるため、社内の有志と「デザインのアンテナ」という活動を始めました。WebNAUTでは不定期コラムとしてその活動内容をご紹介します!
「デザインのアンテナ」とは?
デザインに対する”感度”を鍛えるべく「日々の生活の中から、世の中の創意工夫を発見する」活動です!
具体的に次のような方法で進めました。
- 発見のヒントとなるテーマを参加者に発表
- テーマにそったデザインを発見したら写真に撮る(期間は2週間)
- 参加者で集まり、写真を手にショートプレゼン&意見交換(全員で1時間)
- 全員終わったら次のテーマを発表し、また2週間後に集まる
制約は「調べない、ググらない」
普段の生活の中からデザインの工夫を”発見する体験“を味わってもらうため、検索などで調べることは禁止としました!(発見後の深堀調査はOK)
そして、初回のテーマはこちらです!
「気づきそうで気づかない、
ささやかだけれど気持ちの良いデザイン」とは?
世の中で受け手が無意識のうちに気持ち良いと感じるデザインには、ささやかでも必ず作り手の意図が存在するはず。
日常の「無意識の気持ち良さ」に”意識”を向けてみることで、モノを生み出す側として持っておきたい発想の引き出しを広げよう!
という意図のテーマです。
では、13人の参加者が「デザインのアンテナ」でキャッチしたデザイン事例をご紹介していきます。
※「気持ち良さの分類」は私の勝手な主観によるものです。特に学術的な根拠などございません。
感情に配慮した気持ち良さ
紙パックのお礼
畳ませることが目的であれば「畳んでください」と書きそうなものなのに、畳んでくれた人に対してきちんと感謝を伝えていて素晴らしい。送り手が受け手の気持ちをきちんと想像して作ったデザインですね。優しい世界!
セブンプレミアムの乾電池
ネガティブな選択をポジティブな選択に変えてしまう”シンプル”の持つパワー恐るべし!
“シンプルであることは、複雑であることよりむずかしい。“って最近読んだ本にも書いてありました。面白い本なのでぜひ読んでみてください。オススメです!
「Think Simple」
認知工学的な気持ち良さ
高輪ビルのエレベータボタン
毎日使っているのに気付けていなかったデザインの工夫に気づく瞬間って楽しいですよね。そんなキッカケを作るのが「デザインのアンテナ」であり、まさに「デザインのアンテナ」の模範回答。ちなみに私も同じエレベーターを毎日使っているのですが全然気付いてませんでした!(汗)
赤ちゃん服のスナップボタン
子煩悩な父親キャラでセルフブランディングしている私の気づきです。といっても、無理やり子育てネタを突っ込んだのではなく、子供向けの製品にはデザインの工夫が多いと日々感じているからです。想定外の子供の動きすらも想定内としてデザインする姿勢は見習いたいものです!
感覚的な気持ち良さ
本のしおり紐
「しおり紐」または「スピン」と呼ばれる紐のことです。たしかにこれが付いていると嬉しい!と思いきや「私は紐はいらないので切っちゃいます」という本の紐はいらない派も。(驚!)
その他にもカバーは外す派、カバーは裏返す派など、本の読み方に対するこだわりで盛り上がることに。本ってやっぱり個人のこだわりが色濃く出る世界なんですね…。
ちなみに新潮文庫は全ての文庫本にしおり紐をつけているようです。素敵!
ポッキーの箱
トッポのベリベリ
期せずして同級生デザイナーの2人による「ポッキーVSトッポ戦争」さすが学生時代に仲良く切磋琢磨していた二人です。目の付け所が近い!でも好きなものは違う!
万人に受けいられるデザインは難しい!ということがよくわかる事例でした。
爪楊枝のギザギザ
木の切断時に頭の部分が焦げるため「焦げた部分を頭に見立て、筋彫りを入れることでこけし楊枝にしよう」という粋なアイデアで生まれたもののようです。装飾性と機能性をかね備えた気持ちの良いデザインですね。技術力の高さも伺えます。
ブランディングとしての気持ち良さ
リオオリンピックのゼッケン
リオオリンピックのフォントは、シンボルからロゴタイプ、ロゴタイプからフォントと同じ思想でブレイクダウンしつつ、フォントとして機能するように細かい調整を行ったようです。シンボルを立たせるためにロゴタイプやフォントはクッキリとしたシンプルな形にするケースもあるかと思いますが、リオではシンボル・ロゴタイプ・フォントと全てが躍動感を感じさせる統一感の高いものになっていますね。
Rio 2016 Font: Download Rio 2016 Olympic Font – Dalton Maag
レッドブルのプルタブ
今まで気づかなかったのはきっと仕事に夢中だったからですね…!
レッドブルのプルタブの牛は、ドイツで飲料缶デポジット制度が導入された際に購入店以外でも回収できるようにするため付けられたもののようです。こういうのって知ると人に教えたくなりますね。こういったささやかなデザインやストーリーが口コミで伝わり、少しづつブランドが強化されるのかもしれません。
レッドブルが「翼をさずける」。代理店はいらない:日経ビジネスオンライン
見えない部分の気持ち良さ
ニコンカメラのシャッター音
カメラのスペック欄にシャッター音の記載はないけれど、使い手の気持ち良さには大きく影響しますよね。製品開発担当者は見た目やスペックには現れない部分もこだわり抜いているはずです。細かいところまで気持ちよく作られてるプロダクトに出会うと幸せです。
AbemaTVのザッピング
話題のインターネットテレビ局「AbemaTV」ですが、本格的なテレビライクなコンテンツ力もさることながら、新しい操作性が気持ちよくて楽しいですね。テレビのような快適なザッピング体験をスマホやタブレットにも持ち込むUI設計。そしてそれを裏側で軽快に動かす開発力。すごい!
Sketchの軽快さ
Web界隈でファンの多いSketch ですが「軽い!」と絶賛されている姿をよく見ますね。仕事で使うアプリケーションに求めたいことは「動作の速さ」。それを実現するための機能選定やUI設計など、後発のアプリケーションだけあって工夫が盛りだくさんですね。
「デザインのアンテナ」は参加しやすい
以上、13のデザイン事例紹介でした。
テーマを設けるとやはり日常的にデザインのことを考える時間も増えますし、細かい部分に気づけるようになりますね。参加者からは「もっとデザインを見て生活しなきゃ」「もっといい着眼点でモノを見れるようになりたい」と次回を楽しみにする声も多かったです。
スキルレベルや普段の案件種類に差がある集団では勉強会のテーマ選びで困ることがあるかもしれませんが、「デザインのアンテナ」は日常生活の中に答えがあるので誰でも参加しやすいのが特徴です。「デザインについてもっとチームで話したい!」と日頃から感じている方は、ぜひ自社のグループワークに取り入れてみてはいかがでしょうか。
次回のテーマは「これぞデザインの力! 費用対効果の高いデザインの知恵」です。
コストを考慮しない解決策は机上の空論であり、優れたデザインにはコストを抑える工夫が散りばめられているはず!コストという課題を力に変えた実現力のあるデザインを探してみます。
次回もお楽しみに!
- デザインのアンテナ
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- 【01】 ささやかだけれど気持ちのよいデザイン
- 【02】 これぞデザインの力、費用対効果を高めるデザインの知恵