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考えやすい環境って作れるの?「考える」をマネジメントする

こんにちは、デザイナーのタカハマです!

みなさんは自分にとっての「考えやすい環境」ってありますか?
 

私自身は、良いアイデアがひらめいたり、思考が整理されたりする場面には、何かしら共通点があるなぁと日々感じていました。

などなど。

考えている時の状態や環境によって人の思考力は高められる、と考えるようになってからは、自分のアイデアがいつ生まれているかを確認したり、チームの中から新たな気づきが生まれる瞬間はどんな状況なのかを俯瞰して見たりするようになりました。

私は仕事の中で良いアイデアが生まれる瞬間が大好きです。
良いアイデアを生み出すのは自分でもチームでもどちらでも良い。とにかくその瞬間に多く出会いたい。

そんな気持ちで、良いアイデアが生まれる瞬間の再現性を少しでも高められるように、人の思考にまつわる情報を集めたり、色々なアイデア出しのプロセスを試したりしてきました。
ここ数年でわりと頭を働かせやすい仕事の進め方が身につき、再現性が高まった感覚を得られたので、
今回はその手法をTHOUGHT MANAGEMENTと題してご紹介します。

手法の多くは自身の体験に基づいており、根拠の乏しい箇所もあるかもしれません。
代わりに、本記事ではそれらを考えるのに役立った書籍もあわせて紹介します。
考えることが大好きな人や、思考の沼から抜け出せずに困っている人のお役に立てれば幸いです。

なお、本記事で紹介するTHOUGHT MANAGEMENTの一部は、JBUG京都でも発表させてもらいました。
スライド形式で見たい方は、以下の登壇資料をご覧ください。

THOUGHT MANAGEMENTとは?

THOUGHT MANAGEMENTとは、思考の特性を理解した上で、考える環境を上手く使い分ける手法です。

考えるという行為は、基本的に「頭の中」で行われるものです。
が、もう少し解釈を広げて捉えなおすことができます。

例えば以下のような経験はありませんか?

これらも含めて考え方の種類を整理すると、以下のような分類と掛け合わせができます。

考える「」と「場所」の選択によって、物事の考えやすさが大きく変わるのです。
ここからは、それぞれの違いや選択のポイントを順にご説明します。

「一人」で考える

まずは、誰と考えるか?です。
一人で考えるか、誰かと一緒に考えるかが、ひとつ目のTHOUGHT MANAGEMENTのポイントです。

一人で考えることは、思考活動の基本であり、いつでもどこでも自由に思考を巡らせられることがメリットです。

「一人」で考える方法と、その特徴

一人による代表的な思考方法に、想像空想があります。
発想の自由度と柔軟性が高く、離れた概念をつなげたり、複雑な概念をまぜたりすることが得意です。
物心ついた時から自然と行われている、馴染み深い思考方法ですね。

もう一つ、熟考という思考方法もあります。
物事を深く考え、じっくりと探求することが得意です。

言い換えると、集中して深く考えるためには一人になる時間を意識的に作る必要があるということです。
ライフスタイルによっては、気づけば大半の時間を家族・同僚・友人と過ごしている人もいるでしょう。
誰にも邪魔されず一人になりたい時は、部屋にこもったり、あえて外に出たり、会議室を利用したりと、物理的に一人の空間に移動するのがシンプルですが効果的です。
 

「一人」で考える時の注意点

一方で、一人で考えていると自身のバイアスに気づきにくく、思い込みから抜け出せないという弱点もあります。
また、事前インプットが不十分だと、狭い範囲でしか考えられません

さらに、一人で考えたことを誰かに伝えるには思考のアウトプットが必要です。
言葉や絵などを駆使し、相手に意図通り伝えられるか否かで、考えたことを仕事に活かせるかどうかが変わってきます。

一人で考える時こそ、インプットとアウトプットの質を高める工夫が大事というわけですね。

もし一人で考えている時に、何らかのバイアスに囚われている、インプット範囲が狭く何かが不足している、と感じる場合は対処が必要です。

そんな時は、次の「他者と共」に考えるという方法を取り入れることで、一人で考えるよりもはるかに思考が広がるかもしれません。

「一人で考えること」の理解に役立った書籍
『思考の整理学 (ちくま文庫)』」外山滋比古 (著)
思考方法全般について語られている。一人で考えることに限らず、網羅的・普遍的な「考える方法」について、あの手この手で教えてくれる。
40年前の本だが現代に通用することも多い。時間を空けて読み直すと、また違うことに気づけそう。

『アイデア大全』読書猿 (著)
様々な思考のフレームワークが紹介されている。
一人で考える時に参照すると、考え始める切り口が見つかるかもしれない。

「他者と共」に考える

他者と共に考えるメリットは、他者から未知の情報を得て、思考の枠を広げられることにあります。
 

「他者と共」に考える方法と、その特徴

他者と共に考える方法は色々あり、それぞれにメリットがあります。

例えばインタビューでは、一般化されていない個人の「心情」や「行動理由」を探ることができます。
質問を重ねることで、相手がとった行動だけでなく、行動の背景にあった理由や感情、その人ならではのストーリーなど、一人では想像もできなかった他者の具体的なケースを深く知ることができます。

ワークショップでは、個人の経験や着眼点の違いを活かして、アイデアを容易に「発散」できます。
他者との発散過程を通じて自身のバイアスに気づくことも多く、思考を「広げる」ことに有効です。

対話議論といった他者との会話は、新しい知見や視点を得て、物事を「理解」するのに役立ちます。
さらに、他者への説明を通じて言語化が進み、自然と自身の考えが「整理」されます。
色々な人と対話や議論を重ねることで、自身の考えを伝えるスキルも高まっていくので、周囲を巻き込みながら物事を進める推進力も同時に磨かれます。

「他者と共」に考える時の注意点

しかし、他者と共に考えることは、いつでもどこでもできるわけではありません。
オンライン会議ツールの発達によって、時と場所に対する制約は減りました。
それでも事前に依頼したり、予定を調整したりといったひと手間が必要です。

また、対話の質は対話スキルと互いの関係性に大きく依存します。
例えば質問力、傾聴力といった聞くスキルや、ファシリテーション、アサーションといった対話を円滑に進めるスキルを発揮できるか否かで、同じ相手でも得られる情報の質が大きく変わります。

相手との関係性によっては「評価に関わりそうで意見しにくい」「知識差に遠慮してしまい発言を控える」など、相手が持っている知見をまともに得られないケースもあります。
他者と共に考えるには、対話スキルを身につける努力や、日頃の関係性づくりが大切になります。

さらに、他者の考えに依存し、主体的に考える割合が減らないように注意が必要です。
依存してしまうと、思考は広がっても採用するアイデアの判断がつかず、焦点の定まらない浅い思考に陥ってしまうかもしれません。
主体的に参加しないと、得られた知見も頭の中を素通りしてしまうので、後で誰かに説明しようと思っても上手くできなくなってしまいます。

他者と共に考える時は、主体的に関与した上で一人で改めて考え直したり、深掘りしたりする時間をセットで設けることが大切です。

何気なく始まった気心知れた同僚との雑談が、いつのまにか良い壁打ちに発展し、意図せずアイデアが磨かれたという経験はありませんか?

それもまた他者と共に考える実践だと思います。

オフィシャルな会議だけでなく、気兼ねなくフランクに話せる関係性や空間が身近にあることは、良いものづくりに大切な環境だと改めて感じます。

「他者と共に考えること」の理解に役立った書籍

勝手に「バイアス三部作」と呼んでいる本たち。
『観察力の鍛え方』佐渡島 庸平 (著)
『問いのデザイン: 創造的対話のファシリテーション』安斎 勇樹 (著)
『SHIFT:イノベーションの作法』濱口 秀司 (著)

自身のバイアスを自覚するには「観察力」。チームでバイアスに気づくためには「問う力」。新たなイノベーションのためには既存のバイアスを「壊す力」。そんな色々な力について学べる。
三冊に共通している大事な姿勢は「社会を構造的に捉えること」「今を疑い、問いを投げ続けること」そして「俯瞰してシンプルに図解すること」だと思った。
サービスデザインなど、コンセプト会議のファシリテーションを行う機会の多いデザイナーには「SHIFT:イノベーションの作法」は特にオススメ。明快かつ刺激的!

『ユーモアは最強の武器である』ジェニファー・アーカー (著), ナオミ・バグドナス (著)

他者と共に創造的に考える上で大事なスパイスとなる、ユーモアの存在。責任感高くファシリテーションやマネジメントをしている人にとってユーモアの効力を知ることは、場の雰囲気を良くするヒントになるだけでなく、自身を救うことにもなると思う。

「頭の中」で考える

次にどこで考えるか?です。
考える場所が二つ目のマネジメントポイントとなります。

頭の中で考えるメリットは、いつでもどこでも思考を重ねられることや、抽象概念も思うがまま、自由に思考できることです。

「頭の中」で考える方法と、その特徴

例えば連想着想という思考方法があります。
これは言葉やビジュアルを頭の中で自由に思い描き、考えを次々と変化させる方法です。

概念図や造形物など、視覚的な物事は手で描きながら考える人も多いと思います。
しかし難しいものを無理して描こうとすると、表現レベルが追いつかず、かえって思考の妨げになるケースも。
あえて頭の中だけで考えることで、言語・非言語を問わず複雑な物事を柔軟に行き来し、絶えず思考を変化させて、思考の「枠を変える」ことができます。

また、頭の中だけで考えているうちは、どんなことを考えても問題にはなりません。
人に言えないことや言葉にするのが恥ずかしいことも制限なく考えられますし、たとえ他者から反発を受けやすいアイデアでも、頭の中だけにあるうちは誰からも干渉されません。
新たな発想を得るための思考実験を繰り返し、頭の中だけで考え続けたからこそ生まれるタイプのアイデアというものがあります。

既存の枠に囚われたくない時は、あえて頭の中だけで考える時間を多くとることで、行き着く先があるかもしれません。

「頭の中」で考える時の注意点

一方で、頭の中だけで考え続けるには限界があります。

頭の中での思考は流れやすく、情報量が多い場合に、俯瞰的に把握したり整理したりするのは苦手です。

問題が複雑だと思考のループから抜け出せず、同じことを考え続けてしまいがち。
一生懸命に考えているつもりが、ただただ「悩んでいただけ…」となることも。

複雑な情報をうまく扱えずに困った時は、次に紹介する「頭の外」で考えるアプローチによって、一気に解決する可能性があります。

「頭の中で考えること」の理解に役立った書籍

私の頭の中を柔らかくしてくれた「リフレーミング三部作」。
『具体と抽象』細谷 功 (著)
『思考の枠を超える 自分の「思い込み」の外にある「アイデア」を見つける方法』篠原信 (著)
『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』菅俊一 (著), 高橋秀明 (著), 佐藤雅彦 (著)

『具体と抽象』は具体化と抽象化のコツを教えてくれる本。具体と抽象の扱いを覚えると頭の中の自由度が高まる。大事なのはグラデーションであることと相対的であること。
『思考の枠を超える』は「思い込み」に気づき、外すことを教えてくれる本。仕事に役立つだけじゃなく、子育てとか家庭生活にも役立つ。
『ヘンテコノミクス』は人の行動心理の面白さをマンガでユーモアたっぷりに教えてくれる。論理で人は動かないことをただただ痛感。それでもまだ論理的に設計して説得してしまう。人の行動はおもしろ難しい。マーケティングにもマネジメントにも役立つ。

「頭の外」で考える

頭の外で考えるとは少し変わった表現ですが、道具やテクノロジーを利用し、アウトプットベースで物事を考えることです。

デザイン現場で使う代表的なツールにはペン、付箋、ノート、ホワイトボードなどのアナログツールと、Backlog、Slack、Figmaなどのデジタルツールがあります。

頭の外で考えるメリットは、アウトプットすることで思考を俯瞰でき、履歴も追いやすくなるため、処理効率を大きく高められることです。
また、アウトプットベースなのでそのまま他者に共有もできます。

アイデアを共有しながら考えを発展させたい時は、できるだけツールを使い頭の外に思考を出しながら考えるアプローチがとても大切になります。

頭の外で考えるにはツールを適切に使い分けるのが重要です。
ツールには得意・不得意な思考領域があります。ここではアナログ・デジタルそれぞれの特徴を紹介します。
 

アナログツールの特徴

代表例である付箋、ノート、ホワイトボードなどは、一般的な学習道具としても利用されているので、誰でも容易に扱えるのが利点です。

付箋は書ける面積が限られているため、アイデアの粒度を揃えやすく発散に向いています。
アイデア量も可視化しやすく、自由に動かして関連性を整理できるので、物事の整理俯瞰にも適しています。

ノートは思考を文字やイメージに残しやすく、流れも見直せます。
忘れてしまったアイデアを再活用したい時や、あえて一度忘れて脳のリソースを空けたい時にメモとして使うなど、ノートは記録の支援が得意です。

ホワイトボードは存在そのものが注目を集めやすく、議論の流れをまとめるのに向いています。
ペンを持つ人が自然と周囲をファシリテートできるので、その場に出たアイデアをまとめるだけでなく、参加者の意思も含めて合意形成を促したい時にも有効です。

ただし、アナログツール全般の弱点として、物理的な保管場所が必要だったり、他者へ共有するには同じ空間を介する必要があったりします。

一方で、デジタルツールにはその弱点がカバーされているものも多くあります。
アナログツールと上手く使い分けられれば、より効率的に頭の外で考えることができます。

デジタルツールの特徴

代表例としてあげたBacklog、Slack、Figmaなどは、アナログツールの弱みである物理的な制約から解放され、思考を効率的にチームに共有できるのがメリットです。

例えばBacklogは、思考を束ねて渡すことに長けています。
案件に関するタスクや情報をファイルのように束ねてチームに渡せるので、誰がどのタスクを考えれば良いのか明確になります。
また過去の情報を大量に保管でき、容易に参照できるので、チーム内の思考整理にとても役立ちます。

Slackは、思考をゆるくつなぐことに長けています。
チャンネルやスレッド機能で自然と文脈が形成され、柔軟な同期機能もあるので、同じ空間にいなくてもチーム内のやりとりや対話の流れをそばにいる感覚でキャッチできます。
また、絵文字でのリアクションが豊富でカスタマイズも容易なので、テキストコミュニケーションで欠けやすい情緒を含めた反応や、組織文化に根ざした反応を互いに得られやすい点も特徴です。
発話の心理的なハードルが下がるため、考えとして固まり切る前の「柔らかい思考」の共有量を増やすことにもつながります。

Figmaは、チームで考える際の視界あわせに長けています。
無限に広がるような作業台の上にテキストやイメージを大量に並べられ、互いの視点をフォローする機能もあるので、ビジュアルベースで同じモノを見ながら対話を進められます。
画面を引いて見ればマクロな視野で全体像について対話でき、寄って見ることでミクロな観点でディティールの検討もできます。
チーム全体の創造的なコラボレーションがとても活発になります。

今回紹介したツールはほんの一部ですが、各ツールのコンセプトレベルの長所を理解することで、チームで考える際の処理効率や柔軟性を大幅に高められます。
同じチームメンバーでも、どのツールを利用するかで対話の流れや思考速度まで変わってしまうのは、面白くもあり、怖いところでもありますね。

ただし、これらのデジタルツールにもやはり弱みがあります。
それは、上手く扱うためにはスキルの習熟やルール整備が必要不可欠ということ。
習熟度が低いと、かえって思考の妨げになりかねません。
使い方のルールが整備されていないと、不要な軋轢や疎外感につながるかもしれません。
会社の事業環境やセキュリティ方針によっては、そもそも導入が難しいというケースもよく聞きます。

また、アナログ・デジタル問わずツール全般に言えるデメリットとして、作業した感覚と視覚的な満足度が得られることで「よく考えた気になりやすい」点には注意が必要です。
もし、たくさんアイデアを考えたものの「表面的な思考にとどまっている気がする…」と感じられた時は、次の「体と五感」を使って考えることで、良いインスピレーションが得られたり、後悔しない判断ができたりします。

「頭の外で考えること」の理解に役立った書籍

私の中の「手を動かしながら考えろ」三部作。
『だれでもデザイン 未来をつくる教室』山中俊治 (著)
『ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン』寄藤 文平 (著, イラスト)
『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』佐宗 邦威 (著)

絵を描きながら考えてイメージが膨らんだり、プロトタイプを作って新たな気づきが生まれたりなど、頭の中で考えるだけでは進まないことを教えてくれる。
「子どもの頃は自由に絵を描けていたのに、いつのまにか描けなくなっていた」という人は、デザイナーにも案外いると思う(自分がそうだった…)。
イラストや作品としての絵と、「考えるための絵」の違いを教えてくれる。考えるための絵は簡単な□と◯と△でも十分だったりする。
そういう気楽さも含めて、描きながら考えることの楽しさを教えてくれる。

「体と五感」で考える

体と五感で考えるとは、身体知や暗黙知といった、自身でも上手く言語化できていない知識を活用する思考方法です。

判断するための根拠やデータが不十分なケースでも、経験則によって感覚的に妥当な判断を素早く下したり、筋の良いアイデアやインスピレーションを得たりしやすいのがメリットです。

「体と五感」で考える方法と特徴

例えば散歩やドライブをしながら動いて考えると、デスクに座ってずっと考えていても思いつかなかったアイデアがひらめくことがあります。
これは周囲の景色や空気などが変わる「環境変化」の作用が大きいです。
無意識のうちに目に入るインプットや、気分の変化が刺激となり、新たな発想につながるのです。

また、話し相手の表情、身振り手振り、声色などを参考に相手の反応で考えることも、筋の良いアイデアを見極めたり、重要な観点に狙いを絞って深掘りしたりすることにつながります。
相手のリアクションから得られる「感情変化」を非言語情報として知覚することで、アイデアの良し悪しを見分け、他者の視点ではどのように受け止められるのかを感覚的に理解できるのです。

リモート会議やチャットツールでの対話は、論理的な情報共有における効率性は高いですが、情緒的な情報は削がれやすい面もあります。
それらの影響を軽視しすぎると大事な観点を見落としたり、コミュニケーションエラーにつながったりしかねません。
感情面も含めて慎重に議論したい時や、チームでしっかり深堀りしたい場面では、対面で打ち合わせするなどの使い分けが大事になります。

さらに勘や鼓動変化など、自身の五感や身体感覚を頼りに直感的に考えることで、断片的な情報しかなくても良い判断を下せるケースがあります。
こうしたケースでは、いわゆる身体知や暗黙知といった経験の積み重ねによって瞬時に判断したり、自身の「感覚変化」に意識を向けることでアイデアの良し悪しや異常値に気付いたりしているのです。
おそらく「センス」と言われるものもこれに類すると思われます。

「体と五感」で考える時の注意点

直感的な思考が役立つ場面は多い一方、弱点もあります。
感覚的な思考で得られたアイデアや判断は、論理的な補足説明がないと他者から理解を得られにくいのです。

理解を得るためには、あくまでも気づきの観点として直感的な洞察を活用し、その後冷静に「なぜそう感じたのか」を補足説明する根拠や経験とあわせて伝えることが大切です。

また、日頃から身体を動かし、自分自身の内部の感覚にも意識を向けていないと、いざという時に直感を働かせるのは難しいものです。
「直感というものはなかなか侮れないものである」というマインドセットから始めることが、直感を使うために必要な心の準備と言えるかもしれません。

直感を鍛えるには日々の生活や趣味も大事

私は、仕事とは少し距離のある趣味の時間を多く持つようにしています。

趣味で得られた体験が、比喩として物事を伝える時に役立ったり、抽象的な概念を結びつける時に統合的な直感力を高めたりしてくれる感覚があります。
また、公園でランチをとっている時や、帰り道の電車、歩いている時などにふと良いアイデアが思いつくことも多いです。

集中して考えた後の「家でも会社でもない、少しリラックスした一人の時間」は、アイデアが降ってくる時間だと思って大切にしています。

「体と五感で考えること」の理解に役立った書籍

自分の感覚をもっと信じてみよう。「フィーリング」三部作。
『脳の外で考える』アニー・マーフィー・ポール (著), 松丸 さとみ (翻訳)
『感情は、すぐに脳をジャックする』佐渡島庸平 (著), 石川善樹 (著)
『センスは知識からはじまる』水野学 (著)

「フィーリングは侮れない」という感覚的な現象を、論理的に理解できる本たち。
『脳の外で考える』は「やっぱりそうだよね。思考環境って大事だよな!!」と自分の経験則をデータで補強してくれた本。
また、感情も大事なパラメーター。そしてセンスは知識の積み重ね。感覚の取り扱い方が上手くなった。

『新インナーゲーム (インナーシリーズ) 』W.T.ガルウェイ (著)

集中力に焦点をあて、身体知のようなものを教えてくれる。運動経験が多い人は感覚的に分かると思うが、いかに思考が邪魔をしてしまうかを思い知れる。自分はセルフ1の声が大きいことは良くわかった。黙らせたい。

ユースケース

THOUGHT MANAGEMENTの活用イメージを図にしました。
事例は、UI/UXやブランディングデザインなどのコンセプトワークの際に、自分が意識的に取り入れている方法やポイントになります。
一人で考える時間と、チームで考える時間を意図的に設定し、様々な観点で発散と収束を繰り返しているイメージです。

また、コンセプトワーク後の実制作プロセスにおいては、工程が徐々に分解されていき、各担当者の個別作業時間が増えていきますが、
チームレビューなど含めると構造的には似たような発散と収束を繰り返し進めていくことも多いので、反復的にサイクルを回すイメージとして円環で表現しました。

「THOUGHT MANAGEMENT」ユースケース図

まとめ

どういう時に自分は「よく考えられていた」か?
そんなことを思い出しながら整理したのがTHOUGHT MANAGEMENTです。

私は自分ひとりで考える時間も、チーム=他者と一緒に考える時間も大好きです。
が、何より好きな時間は「あっ!これって〇〇じゃない!?」「たしかに!!!」と、課題解決に向けて筋のよい洞察が得られ、チームの一体感が増す瞬間です。

一人の時間もチームの時間も、「人」と「場所」を上手く組み合わせることで、考えやすい環境をデザインできるはず。そう思いながら日々を過ごしています。

ビーワークスではThoughtful designというメッセージを掲げています。
「考えること。人の気持ちを想うこと。」を大切にしているメンバーが多く在籍し、「考え抜くデザイン」で期待に応えたいと思えるクライアントや、チームとともに仕事をしています。

私たちのソートフルなデザインと、それらが生み出される環境に興味がある方、ぜひ一緒にお仕事しませんか。

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ライティング協力:平野(ライター)