WNT-Report-20150312
Report

グラフ株式会社へインタビュー!印刷のプロからクリエイターへのメッセージ

GRAPH

ビーワークスは日々様々な外部の会社と連携して仕事をしており、印刷会社もその一つです。印刷系の記事第2弾です。

※前回記事「WEBも紙も!ハイブリッドなクリエイターになるためにー印刷加工の基礎知識ー」参照

今回はビーワークスの会社案内の印刷をお願いしたことがある縁もあり、グラフ株式会社様へのインタビューを実施。

※記事「【CI】コーポレート・アイデンティティの基本要素とツールリニューアルの話」参照

グラフの成り立ちから印刷物の魅力まで、大いに語っていただきました!昔から培ってきた印刷技術と新たなテクノロジーを融合したものづくりで著名なグラフが語る、印刷物のデザインとは?そして印刷物の制作を行うクリエイターに向けたメッセージとは?必見です!


グラフの成り立ち

Q.どういった経緯で今の業務内容に至ったのでしょうか。

A. グラフは元々、兵庫県の田舎で主にパッケージ関連の印刷を行う会社でした。ただ、印刷だけを生業としていると、デザイナーさんやクライアントの意図が分からないまま原稿がたくさん印刷現場に入ってくることが多かったんですね。しかし、代表である北川一成がきっとそこには想いがあるはずだ知らないままでいるのは良くないだろう、と考えるようになりました。

そこで、北川は元々デザインに長けていたということもあり、社内にデザインセクションを立ち上げました。そうしてデザインセクションはもちろん、印刷現場の方でもクライアントの意図・最終の表現方法をイメージしながらものづくりをしていこうということを始めまして、それが今のグラフにとっての大きな転機になりました。平成元年くらいの話です。それまでは北川紙器印刷という印刷会社だったのですが、社名も「グラフ株式会社」に改め、社内CIを設定しました。そこから特殊加工をスタートさせ、現在の業務内容に至ったという次第です。


Q.現在はどういったことを大切にしていらっしゃいますか。

A. 社訓という訳ではないのですが、我々が持っていなくてはならない指針として「技術」「センス」「翻訳能力」の3つを掲げています。それら全てをバランス良く持っていないと、クライアントの意図を最終成果物に落とし込めないと考えています。それがないと、クライアントへの提案も出来なければ、印刷現場にも意図を伝えられないですからね。

コミュニケーションの中で、聞いたまま伝えるのはもちろんなのですが、オーバー気味に伝えるとか、抑え気味に伝えるといった「翻訳」が必要になります。クライアントにも予算や納期といった条件がある中で提案をし過ぎると、後で残念な結果になってしまうこともありますからね。そのため、クライアントの意図をうまく「翻訳」して、「技術」と「センス」を足し引きしながら発揮する、そういったことを大切にしています。

グラフ株式会社 マネージャー 高見武芳様

グラフ株式会社 マネージャー 高見武芳様


デザイン>加工の時代

Q.最近の印刷技術に傾向はありますか。

A. 今の時代の流れの前に何があったかと言うと、バブルの時代です。当時は光って派手だったら良い、という時代でした。会社に過去の納品物をしまっておくストックルームがあるのですが、過去のものを見返すと、「やたら光ってるなぁ」と(笑)。その時はとにかく派手な方が良く、加工も様々詰め込んでいるものが多かったです。他社との差別化だったりとか、他がこうするならもっとうちは目立たなくては、という考えの時代でした。

そこからの反動なのでしょうか、最近の傾向では風合いのある・ナチュラルなものがベースにあります。そこに気の利いた加工がそっと置いてある、というものが多いように感じられます。例えばバブルの頃には活版印刷は流行っていませんでしたが、最近ではちょっとしたブームになっています。ぱっと見には派手ではないものの、触ってみて「あっ」と思うような加工と言いますか。ちょっとした気付きみたいなことを求められることが多いですね。


Q.そういった流れをどう捉えていらっしゃいますか。

A. デザインの中で加工が一つキレイになっていると、そこに視線が集中してさらにキレイに見えるということがあります。何かしら目立たせたい、ポイントにしたいというところに特殊加工がそっと置いてあると、とても引き立ちますね。全面ギラギラにして、やってるぞ感を出すとどうしても視線がばらつきます。
言い換えると、今は加工よりもデザインが勝ってきている時代なのかもしれません。加工ありきではなく、あくまで中心はデザイン。デザインの中で、ポイントを目立たせるために加工が使われるという考え方です。

今は加工とデザインのバランスが良い状態だと感じています。あくまでクライアントの意図を表現する手段の一つとして、加工があると捉えていますので。そのため、たまに依頼としてある「予算があるから箔を押したいです」とか、「変なことしたいんですが何か出来ますか」といったオーダーにはちょっと困ってしまいますね(笑)。差別化するにはこんなのもありますけどね、くらいのスタンスが最大です。

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ものづくりの魅力

Q.印刷物の制作についてお聞かせください。

A. これは個人的な見解ですが、紙や印刷物についてはこの先もなくならないと思っています。印刷物は、重さだったり硬さだったり、視覚以外にも訴えることが出来るメディアです。ただ、我々はPCを100台売ってこい、という商売ではなく、オーダーメイドの仕事です。何もない状態から始めて、最終型がきちんと見られるのは納品のタイミングという、ある種怖い仕事です。イメージレベルでの話しか出来ませんし、そのイメージも受け手によって捉え方が違います。例えば同じ金の箔押しでも、デザインや造形が変わってくれば目立ち方も変わってきますよね。

ただ、そこが面白いところでもあります。毎日違うものを取り扱っていますし、同じような商材をやっていてもお客さんが変わればやり取りも変わってきます。毎日兵庫の方から刷り取りやサンプルが届くのですが、十数年やっていても驚くことがあります。「元々のイメージと違うけどこっちの方が良い」「さらに良くなった」といった新しい発見がまだまだあるのです。その奥深さが魅力ですね。


Q.印刷現場とはどういったコミュニケーションを取っているのでしょうか。

A. 印刷のオペレーターや箔押しの職人とは日々直接話しますので、リアルな声を聞いています。印刷現場の技術レベルは営業サイドよりも高いので、「これとこれとの相性は悪いよ」と言って差し戻されることもあります。

ただ我々営業にとってありがたいのは、印刷現場がちょっとした遊び心を持ってくれているところです。話を聞いた上で、じゃあこっちの方が面白いんじゃないか、と言っておまけを付けてくれたり、「こういうのやりたいんだろ」と言って勝手に作ってくれたものを送ってくれたりするんですね。もちろんオーダーはしっかり伝えるのですが、「多分こんな話をしてきてるんだろうな」というのをそこから考えて、だったらこっちの方が良いのでは、というのを伝えてくれます。オーダーに対して現場の高い技術レベルでものを返してくれるのでありがたいですね。


印刷物の特徴

Q.印刷物自体にはどういった特徴があるのでしょうか。

A.光のコントロールが出来る」点ですね。例えば「マット」という質感は詰まるところ光を乱反射させて、反射をなくしてざらざらに見せています。一方で表面の上部については平滑度を高くしていますよね。その結果光が反射しやすくなり、つるつるに見えます。その光の反射のさせ方の度合いをコントロールするために、箔押しやシルクだったり、という選択肢がある訳です。同じ白い紙でも、風合いのある紙のふわっとした感じとか、コート紙のつるつるした手触りとか、色々ありますよね。白場については紙選びで、色の付いたところは加工でコントロール出来るのが印刷の面白さだと思っています。

加工を決める際には、光の反射の見え方をまずイメージして、その手段として加工を選ぶという流れが大切ですね。もちろんそれだけではなく、質量や折り返し加工だったりという要素のイメージが加わって、全体の造形が何となく見えてくるかな、と思います。


Q.光のコントロールという言葉が印象的です。

A. 例えば、風合いのある紙に空押しをすると、ただ凹ませているだけなんですけど、そこが平滑になります。そして押されて奥まった分、周りに影が出来て、それが得も言われぬ良さを出します。ぼこぼこしたものを真っ直ぐにしたり、真っ直ぐのものをふにゃふにゃにして乱反射させるなど、そういった光のギャップを作ることが肝になると思うんです。

ただそういったことは狙ってやると歪なものになったりもします。そのため、身体感覚としてのレベルで「こっちの方が良いな」と思ったことと加工がすっと繋がるのが結果的に一番良い提案なのかな、と思います。


グラフの名刺に込めた想い

Q.グラフさんの会社ツールには何か加工がありますか。

A. 我々の名刺のデザインには実は隠れた意図があるんです。元々の名刺はグラフという名前にした時に作成したのですが、非常に文字が小さく、ほとんど白場みたいな作りでした。それを20年振りくらいにデザインを変えることになったのです。

リニューアルにあたっては代表の北川がデザインをしました。その際、ロゴの次に何を目立たせるかを考えた時に、名刺を一番見るのは電話を掛けるときだろう、と思い至ったんですね。その結果、数字を大きくあしらった文字組になりました。名刺に印刷されているCIのイエローにも意味があります。これはグラフイエローと呼んでいる色です。この色はシンプルにかわいい色、良い色ということもあるのですが、それだけではありません。例えば私の名刺がなくなったとして、新たに印刷を行おうとした時に、印刷機をキレイに洗浄しておかないとこのイエローは出ないんですね。つまり毎日メンテナンスをきっちりしておかないと、前の印刷の色が残って混ざり、濁った色になってしまうのです。

文字が版面ぎりぎりにレイアウトされているのも同様です。普通の印刷会社なら怒られますし、嫌がられるデータでしょう。これは現場がキレイに断裁出来ているかをチェックするためにあえて行っているものです。誤解を恐れずに言えば、印刷現場が嫌がることをあえてやっています。ものづくりに対する問いかけを、この名刺のデザインには込めているのです。

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クリエイターへのメッセージ

Q.最後に印刷物の制作を行う方へのメッセージをお願いします。

A. 世の中に出ている印刷物をたくさん触ってみてほしいな、と思います。そして「何故それを手に取ったのか」をきちんと考える。もちろんぱっと見で良いと思ったものを取っていると思うのですが、そこからもう一歩推し進めて考えると色々な謎が解けていきます。機能なのか、デザインなのか、用紙なのか、印刷なのか、加工なのか。どこのポイントで自分がそれを手に取ったのかに深く入っていくことが大切だと思います。

印刷という作業は、実は簡単なことではありません。例えば箔押しは、今でこそ一般的に使われる技術です。しかし昔は本当の金を使用した、とても高級なものでした。それこそ職人が命を懸けてやっているようなものだったんですね。印刷自体も同様です。そのため、紙選び一つとってもそうですが、出来るだけ大事にしてほしいですね。我々は実は結構大層なことをやっています。大層なことをやっている、という意識があれば、きっと印刷物の精度も上がると思います。加工というのは、分からないまま冗談半分に使うととても危険なものです。ただ、うまく使えば得も言われぬような造形が出来上がります。もっともっと深くと言いますか、興味を抱いて欲しいですね。


Q.一つ一つの技術を深く知ることで、より面白いものが作れると。

A. ドキッとするようなものづくりをしていらっしゃる方は今もたくさんいらっしゃいます。変に派手にするだけでなく、「組み合わせだけでこうなるんだ」という驚きは今でもよく感じます。それは本当にちょっとした組み合わせだったりバランスだけで崩れてしまうものです。その人たちは本当に考えていらっしゃるでしょうし、たくさんのものを見て、手に取っているんだと思います。なので印刷技術をうまく使いたい時にはもっともっと深く考えていただけると、同じ加工・同じコストでも格段に素晴らしいものが出来上がるのではないかと思います。

出来ることは限られている中で、いかに組み合わせを考えるかが印刷のポイントですし、我々のやり方です。
そこで、皆さんには印刷の限界値を知っていただきたいのです。その上で、我々はそこのちょっと上をいきたいと考えています。そのちょっと上を付けた時には、本当にドキッとするものづくりが出来るんです。うまくバランスが取れていて、世の中にあるもののちょっと上を付ける。そんなことを是非一緒にやっていきたいですね。

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まとめ

グラフ様へのインタビュー、いかがだったでしょうか。「印刷のプロ」へのインタビューと銘打ちましたが、WEBやプロダクトなど、「ものづくり」全般に通じる話だったのではないかと思います。

ビーワークスではこういった各界のプロフェッショナルと共に日々業務を遂行しております。グラフ様とのタッグでのお仕事のご指名や、弊社との新たな交流など、ご興味のある方は是非お気軽にお声掛けください!

GRAPH
昭和8年より兵庫県の本社にファクトリー(印刷加工工場)を、平成元年より東京・代官山に東京オフィスを構える。顧客のニーズをくみとり、印刷をはじめ、創業以来培ってきたものづくりの技術と新たなメディアやテクノロジーを融合させ提案する。現在は、一般的なものから特殊技術を要する印刷加工、デザイン(グラフィック・パッケージ・ウェブなど)、ブランディング、知的財産管理、商品企画、キャラクター企画、イベント企画、プレスなどの業務を社内で一貫して行っている。様々な技術が日々進歩していく中で、ものづくりには「人間力」が必要であることをかかげ、人の心に響く「コミュニケーションデザイン」の創造を目指している。

書籍『ブランドは根性』(発行:日経BP社)

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この記事を書いたメンバー

鈴木 伸章 ディレクター/マネージャー

大阪→東京、営業→制作というキャリアチェンジを経て現在に至ります。
はまっていることはキャンプグッズの収集。決裁者(奥さん)が厳しく、稟議却下の毎日です。

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